2009年の南アフリカランド大暴落とその結末

個人投資家にとって重要な教訓を与えてくれるのが、2009年に起きたくりっく365におけるランド大暴落という事例です。

2009年10月30日金曜日、くりっく365で、東京時間土曜日早朝5時直前、南アフリカランド/円のレートが11円50銭から8円41.5銭程度まで3円以上、率にして26.8%も急落するという異変が起こりました。

この事件のポイントは以下です。

  • 多くのランド保有者が強制ロスカットされて資金を失った
  • 南ア・ランド暴落は「くりっく365」のみで起き、他の市場では何事もなかった
  • 金曜のマーケットクローズ直前の大暴落だったため(諸事情により)対処が遅れ、月曜日の他の金融相場にも多大な影響を与え、円全面高などの事態を引き起こした
  • ランドは高金利のためスワップポイント狙いで長期保有する人が多かったことも、この問題を深刻にした

その後、くりっく365側が調査し、この件はシステム障害などではなく、FX取引業者が設定していたスプレッドの「BID 8円41.5銭」というイレギュラーな設定が主要因であったことが判明しました。

そして、ランドを取り扱う業者が5社程度と少ないために、一社が出したスプレッドに市場が引きずられてしまったということのようです。

被害を受けた投資家が集団訴訟を起こすまでの問題となりましたが、くりっく365が救済措置を発表しました。

また、この事件以降、実勢から著しく乖離したレート提示が排除されるしくみができました。

この事件から個人投資家が学ぶべきことは次の点です。

1 正規取引所でもリスクはある
不正やトラブルがなくても、今回のような異例の事態は起こるのだということを覚えておきましょう

2 マイナーな通貨は個別事象に影響を受けやすい
広義でいえば、「マイナー通貨ゆえ」に起きた暴落といえます。
スワップポイントが高い通貨のリスクというものについて認識を持ちましょう。

3 市場は徐々に整備されてきている
FX取引市場など新しい金融マーケットはこのような事件が起きるたびに対処する制度を整えてきました。
リスクへの意識は大切ですが、闇雲に怖がる必要はありません。

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