通常のFX取引では速い値動きに素早く判断する必要があり、取引できる時間が限られてます。
また、初心者は迷ったり、冷静さを失ったり…。
そんな問題を一挙に解消できる、FXの連続売買注文ツールが人気を集めている背景には、専業の個人投資家でなく、サラリーマンや主婦など、ごく普通の人でFX取引をする人が増えたことがあります。
つまり、連続売買注文ツールは「初心者」や「取引をする時間が限られている人」に適したツールなのです。
連続売買注文ツールとは、FX取引で利益を得るために「通貨レートに合わせて素早く売買トレード・運用する必要があるFX取引において、相場から予測した売買取引注文を設定しておき、その後、通貨が設定したレートになったら自動で売買注文・取引されるツール」です。
その運用方法は機械的にイフダン(設定値で実行)をリピート(繰り返し)する事で少しずつ利益を確定させる投資スタイルで、感情に流されにくく、投資を専門としていない方を中心に人気のある、中長期的な運用方法です。
それではさっそく、FX各社の連続注文ツールを比較してみましょう。
トラリピとは、トラップリピートイフダンの略です。
提供している株式会社マネースクウェアジャパンは親会社マネースクウェアホールディングスが上場(※)。トラリピは2007年に始まったFX連続売買注文ツール運用の元祖であり、相場の一定の値幅の中に売買注文取引を設定しておく機能をもった革新的な運用方法のFXツールで、特許を取得しています。
2008年のリーマンショック以降、預かり資産が増え続けている唯一のFX会社という実績もあります。
2013年12月リリース。YJFX!の外貨exという通常取引をする口座の注文機能として、リピートトレール注文があります。
設定した買い注文とそれを一定の値で売る注文(トレール注文)、次にその真逆の取引を繰り返します。トレール注文の取引値幅の設定が相場にはまれば、利益を上げられます。
2013年にリリースされたループ・イフダンはアイネット証券の登録商標。同じISホールディングスグループのひまわり証券のエコトレFXでもこの取引注文機能が追加されました。
取引の注文設定がシンプルで、決めるのは売買・取引を繰り返す値幅・決済する値幅の3つだけ。
設定の簡単さと取引手数料無料で人気ですが、FX投資家から「トレンド相場で約定力が弱い」「なぜか利益確定しない」など、その運用体制に疑念の声も(参考)
運用面でも取引の取扱い通貨ペアが4つのみが物足りない投資家もいるかもしれません。
株式会社外為オンラインのiサイクル注文は2014年にリリース。
同じISホールディングスグループのライブスター証券でも運用可能です。
イフダン+OCO注文を連続で発注取引するシステムです。
設定は売買区分・変動幅・対象資産の3つだけで、あとは自動で設定されます。
2014年から取引口座に追加されたトラッキングトレードの機能は、iサイクル注文と大体同じです。見た目は少し違いますが、外為オンラインからライセンス供与を受けているFXツールです。
通常取引をする口座の注文機能として2013年にリリースされた連続IFDOCO注文があります。
前の注文が約定すると次の注文が最大9つまで自動注文される自動売買システムです。
自分で9つの注文設定を考える必要がありますが、その分、レンジ相場やトレンド相場のどちらでも自分なりの設定が可能です。
2015年に通常口座の注文機能のひとつとして連続予約注文が追加されました。
新規注文とその決済注文を最大20セットまで予約注文できる取引機能です。
手数料無料・100通貨から取引できる、というメリットもあります。
2015年2月に通常取引口座の機能として追加されました。
通常の指値・ストップ注文・IFD・IFO・OCOの各注文を連続で発注することができます。
こちらは自動ではなく画面を見ながらの手動です。
※マネースクウェアホールディングスは2016年9月から米国の投資会社カーライルグループ傘下の投資ファンドを窓口として、経営陣による自社株の買い取り(TOB)を実施。
そのワケは中長期的な安定的成長を見据えた最新テクノロジー・人材育成・販売ネットワークの構築などへ先行投資するため。とのこと。先行投資ですので、外的要因(世界的景気減速)も踏まえると、短期的には利益低下やキャッシュ・フローの悪化のリスクがあるということです。
これまでの急成長してきた同社ですが「満足せず、また新たなステップに進むための改革」という形のようです。今後の中長期的な成長に期待しましょう。
こうしてみてくると、マネースクウェアジャパンのトラリピ以外は2013年以降に始まったサービスということがわかります。
トラリピのシステムが投資家に受けると見るや、模倣した感じは拭えません。
自動売買や連続注文ツールに人気が集まっていることの表れといえますが、実際にどれを選ぶか、のポイントとしては、
などが大切です。
まだ、特許をとっているマネースクウェアの主張を考えると、オリジナルであるトラリピが将来性もあると思います。
システムトレードを選ぶのに、自分が得意な通貨ペアを扱っているかどうかも気になるポイントです。
最近は各社とも、取り扱う通貨ペアを次々と新規追加しています。
しかしその一方で、2016年の場合、英国のEU離脱ショックでポンドとユーロに動揺が走りました。
このように特定の通貨で相場が荒れる事態は今後また起こり得るので、通貨選びには慎重な姿勢が必要です。
サービス名 | 提供会社 | 対応通貨ペア数 |
---|---|---|
トラリピ | マネースクウェアジャパン | 11通貨ペア |
ループ・イフダン | ひまわり証券 エコトレFX・アイネット証券 シストレi-NET | 4通貨ペア |
連続予約注文 | マネーパートナーズ パートナーズFX/パートナーズFX nano | 16通貨ペア |
連続IFDOCO注文 | ジャパンネット銀行 JNB-FX PLUS | 16通貨ペア |
連続注文機能 | 外為どっとコム 外貨ネクストネオ | 19通貨ペア |
リピートトレール注文 | YJFX! 外貨ex | 22通貨ペア |
iサイクル注文 | 外為オンライン・ライブスター証券 ライブスターFX | 24通貨ペア |
トラッキングトレード | FXトレーディングシステムズ FXブロードネット | 24通貨ペア |
次に売買単位はどうなっているでしょうか。
1000通貨単位で取引可能・・・マネースクウェアジャパン、YJFX!、外為オンライン、ジャパンネット銀行、外為どっとコム、アイネット証券
100通貨単位で取引可能・・・マネーパートナーズ
(ただし上記は南アランドなど特定の通貨で例外あり)
売買単位に注目すると、「ループ・イフダン」を提供する2社のうち、ひまわり証券は1万通貨、アイネット証券は1000通貨単位、「iサイクル注文」を扱う2社ではライブスター証券は1万通貨、オンラインは1000通貨とサービス内容に違いがあることがわかりました。
FX取引で最も重要な、為替レート。
取引する通貨の「価格」であるレートは、FX会社によっても取引時点によっても変わります。
これはなぜでしょうか?その理由として3つが挙げられます。
1点は「相対取引」、2点目は「スプレッド」、3点目は「スリッページ」です。
相対取引とは、取引所を介さずに売手と買手がある売買価格に合意の上で取引を行うことで、店頭取引と呼ぶこともあります。
これはチャートに表示される市場価格とは異なります。
最近では相対取引と市場取引の価格差は小さくなる傾向にあります。
スプレッドとは直訳すると値幅ですが、FX取引では為替の売値と買値の差です。
投資家から見て、レートは売る場合に安く、買う場合には高く設定されていて、FX会社はその差額が利益になります。
スプレッドが狭ければ投資家にとって利益が大きくなります。
スプレッドはFX会社によって自由に決めることができ、為替の実際の売買価格ということになるので、決済レートには差があります。
スリッページとは直訳すると滑った幅という意味です。
FXでは取引したい希望価格と実際に取引が成立する約定価格が一致しないことがありその差額をいいます。
注意したいのは、表示されている為替レートの通りに決済できないこともあるということです。
相場が大きく変動するとき、スリッページは大きくなります。
成行注文はもちろん、売りたいときの「逆指値注文」でもスリッページは発生します。
FX会社で「約定力」があるというとき、それはスリッページが極めてわずかであるという意味です。
初心者向きのFX取引として「バイナリーオプション」が紹介されていることも多いですが、これはどんな取引でしょうか。
バイナリーオプションは、一定の時間経過後に為替相場が「上がるか」「下がるか」を予測します。
予測通りになれば一定割合で利益が得られ、外れれば投資金額を失います。
投資金額に見合ったリターン、または投資金額のロスが発生します。
バイナリーオプションが初心者向きであるといわれる理由は、「予測の仕方がシンプル」で、かつ「50円、100円など少額から投資できる」ということです。
FX取引を知るため、慣れるためにやってみるにはおすすめですが、バイナリーオプションで利益を出し続けるのはとても難しいことです。
もちろん個人的にバイナリーオプションが得意!という人は続けていけばOKですが、一般的には、為替について少し理解できたら、連続注文ツールなどでじっくり長期投資をするよう、戦略を変えていくことが望ましいのではないでしょうか。
トラリピは自動注文システムのなかでもリピート系発注機能という部類に入ります。
あらかじめ指定した範囲、値幅で売買を繰り返すので、今後上がるか下がるかを予測する通常のFX取引とはやや違います。
その2つのメリットは以下です。
大きく稼ぐことができないが、大きく損をするリスクも少なくなること、これが自動注文機能の最大の特徴といえます。
短期で次に上がるか下がるかの予測が不要なため、初心者に向いているといえます。
リピート系発注機能であらかじめ設定しておけば、想定したレンジの中で相場が動いている限り次の発注や売却などのアクションを起こす必要がありません。
デイトレードをすることが難しいサラリーマンや主婦、その他のスイングトレーダーはぜひ活用したい機能といえるでしょう。
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