個人投資家のFX取引のスタイルはほとんどの場合「デイトレード」と「スイングトレード」のどちらかです。取引はすべて決裁して終わり、日をまたいでポジションを持ち越さないのが「デイトレード」、ポジションを数日~数週間持って、頃合いを見て決済するのが「スイングトレード」です。前回紹介した、薄い利幅の取引を何回も繰り返す「スキャルピングトレード」も広い意味ではデイトレードに含まれます。
「デイトレードなんて個人投資家には無理」という人もいます。FXのデイトレードにトライしてで失敗し、FX取引から退場してしまう人が多いのは事実です。しかし、ゴルフやスキーが最初から上手な人はほとんどいないのと同じで、少しずつ経験を重ねていくことで上達するものです。そしてスポーツと違うのは、上達するまでの過程も稼ぐ方法も人によって全く違うということです。大事なことは「誰でも最初は負ける」と認識して粘り強くやってみること、そのための資金を確保して、リスクを限定しながら継続的に続けていくことです。
デイトレードに向いている時間帯とは、相場がある程度動くときです。FX取引は24時間いつでもできるので、あらかじめ時間を決めてやらないと、一日中あるいは一晩中パソコンの前から離れられないという事態になりがちです。儲かっているならそれでもOKですが、長い時間をかければ勝てるというわけではないので、1日2~3時間で区切るのが普通です。具体的には、
・8時~11時
・16時~深夜2時
午前中は日本やアジアの市場が始まり、各指標発表もあるので動きます。夕方からは欧米市場とともに動きます。
最も値動きが頻繁で取引しやすいのは深夜0時~1時頃とされていて、この時間にデイトレードをする人が多いですが、どの時間帯がトレードしやすいかは選ぶ通貨ペアによっても、自分の取引スタイルによっても変わってきます。
特に初心者は、短い時間足を見るべきではありません。デイトレーダーが見るべき時間足は、まず日足、4時間足、最後に1時間足、この3種類くらいです。日足により全体のトレンドを掴み、4時間足と1時間足を見ながら予測を立てて取引をしていくということになります。
デイトレで最も大事な技術が「損切り」です。損切りのタイミングを決めることはデイトレードで最も難しい部分です。多少の値下がりで早めに損切りしたら直後に相場が反転してしまうのも、損切りをためらっているうちに大きく負けこんでしまうのも、どちらもかなりの痛手となります。損切りのミスを重ねれば資金を大きく減らして退場する憂き目にあうことに。最初は「10%減らしたら損切り」「あらかじめ損切りラインを決めて予約注文を入れておく」などのルールを決めてやっていきますが、それだけでは成功しません。結局のところ、経験を積みながら上達していくしかないのが実情です。損切りの上達こそデイトレードの最重要項目と思って取り組みましょう。
初心者からデイトレを始めるときは勉強も大事です。デイトレではファンダメンタルもテクニカルも同じくらい大切なので、まず全体を把握できる基本書を読みましょう。成功しているデイトレーダーのブログなどを参考にする人もいますが、たいていは同じように真似してもなかなかうまくいきません。まず全体像を理解できるような本を読み、小額投資で経験を積んでから、ブログ記事などを参考にしていくのがおすすめです。
■インターバンク流FXデイトレ教本(小林芳彦著)これぞデイトレの教科書といえる一冊です。デイトレの基本から予測の立て方までひととおり紹介しています。
■簡単サインで「安全地帯」を狙うFXデイトレード(齋藤トモラニ著)実践的で中身が濃い本です。理系の人なら初心者でも理解しやすいですが、テクニカルが苦手な人は少し経験を積んでから読むのがおすすめです。
■チャートがしっかり読めるようになるFX入門(佐藤正和著)チャートが苦手な人、損切りが苦手な人は必読の書です。
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