2014年、原油価格は10バレルから50バレル以下にまで大暴落しました。
その後2015年になって、前半はやや上昇傾向を見せていたものの、再び2014年の最安水準を更新しています。
今後については、「底入れが近い」という見方もありますが、どの程度に上がるかというとすぐには期待はできない模様です。
原油価格が安いことで日本経済は貿易収支が黒字になっていますが、エネルギー関連産業や商社の業績が低迷しています。
2015年11月、国際エネルギー機関(IEA)が発表した世界エネルギー見通しのなかで、「今後原油価格は2020年ごろまでに80ドルを回復する」という予測を示しています。
この予測とともに、原油調達が安易になっていることで代替エネルギー関連投資が減ることを懸念しています。
ビロルIEA事務局長は「今後のエネルギー事情を長期で安定させるためには、各国が再生可能エネルギーの技術開発を止めてはならない」と述べました。
長期的な予測は出されているものの、原油価格が次にどう動くかは不透明です。
原油の価格は、中東産油国の供給量、それに対する世界の需要(特に原油の大量消費国である中国の動向)、米シェールガスの生産体制、再生エネルギーの開発などを要因として変動します。
現在、「中東産油国が協調して減産する体制をとれる見込みがない」「中国経済の回復の兆しがまだはっきりしない」ということから、原油価格の低迷は少なくとも短期的に継続するのではないかと見られています。